2008/01/06

単位 (DIY)

DIYの世界もアメリカでやっていくとなると単位を切り替えていかないといけない。
もちろんDIYで問題になるのはほとんどが長さで、たまに容量、重さ、圧力などが出てくる程度。
電気関係は電圧・電流・抵抗など一応単位はSIで統一されているので問題なし。
あと角度も工学ではラジアンなども使うが一周360度の角度はSIの国でも健在である。

さてヤード・ポンド法の文句を垂れる前に少しだけ誉めておこう。
日本における中国伝来の尺貫法と同じく、ヤード・ポンド法も自然発生した、生活に根ざした単位系をある程度手直ししたものである。
尺貫法が単位が比較的10進になっているのに対し、妙なデノミネーションをしているという問題もあるとは言え、こういった生活に根ざした単位系は単位の大きさ自体に意味があるのだ。
Inchが親指の第一関節、Footが足の長さ、Yardが一歩の歩幅、というように人間の体の大きさを基準にしているために感覚的に扱いやすい量の数値でものが表せる。
実際そのせいかSIが支配する日本や欧州でもテレビの管面サイズ、タイヤ・ホイールの径などにはいまだにインチが使われている。
こういったものに使うにはセンチメートルは微妙に刻みが小さすぎ、デシメートルにすると少し大きすぎるのである。
とりあえず子午線を40万等分などという理屈だけで単位を作ったので、実際に使い良いサイズというコンセプトがメートル法には無いのである。
あと規格がSI前に固まってしまったものなどは、アメリカの工業界の影響力を反映してか、業界で移行していない限りヤード・ポンド法のままである。
水道・ガスなどのパイプの規格は日本でもアメリカと同じヤード・ポンドベースの国際規格を使っている模様。
ちなみにパイプというのはきっちり規格化されたネジの切ってある棒、ということでDIYでは本来の目的以外にも結構応用範囲が広い。

さてDIYで使うのはとにかく、ほとんどがインチである。
  • inch =25.46mm
ということで料理で使うときより少し厳密である必要があるが、逆に言えばDIYでインチを使うということはすべてをインチに切り替えるということでミリとの間で変換する必要はほとんど無い。
物差し・巻尺など長さを計るものは全部インチのを揃えれば良い。
インチとミリが併記されているのもあるが、物差しや巻尺など、どちらのエッジも使うことがあることを考えると逆にこれはいただけない。
  • foot = 12 inch
これはもう少しまとまった大きさのときに使われるが、この変換も体に覚えさすほかは無い。

インチで厄介なのは1未満の表記だ。
ほとんどの場合、2のべき乗を分母にした分数を使う。
1/4、3/8、57/64などである。
ちなみに日本の工具でもソケットレンチのソケットの四角い差込穴は1/2, 3/8, 1/4インチの規格を使っている。
なんと言ってもソケットレンチはアメリカのスナップ・オンの発明品らしいからしょうがない。
ただ、常に分数表記名わけではない。ものによっては少数表記が用いられる。
プラスチック板、フィルムなどの厚さはミルと呼ばれる1000分の1インチ単位である。
これは銃の口径などにも使われている単位だが、分数との間の変換は実に面倒。

あとDIYで最初に面食らうのは木材のサイズの表記だ。
2x4材の断面は決して呼び寸通りの 2in と 4in では無い。
慣用的に木材は製材される前の寸法が使われるため、いわゆる2x(ツーバイ)材は厚みは両面から1/4inずつ削り取られて、1-1/2in。2x4の場合断面の長辺は同様に削られて3-1/2inである。
1xの板の場合は削る量が減らされており、厚みは3/4inである。
幅は寸法通りの模様。
あと板材に関して合板(Plywood)は通常呼び寸より厚みが1/64または1/32薄い。
これは表面の板を張ってからサンディングしているためらしいが、なら最初から仕上がり寸法に合わせておけば?と思うのは僕だけではないはずだ。

あと規格の違いが影響するのはネジ類。
日本で使用されている機械用ネジは"ISOネジ"というくらいで、当然SI単位で作られている。
基本的にはネジの山径とピッチで呼ばれる。
六角ボルトやキャップスクリューの場合は六角頭や穴の六角径の対辺の距離である。
これらの間の関係が規格化したのがISOネジだ。
M6(山径6mm)の場合はピッチは0.75mmでボルトは対辺10mm(だったはず)。
径とピッチの関係はインチになるとまったく違うが、ネジの山のプロファイルはISOネジとアメリカのインチネジ(ユニファイ・ネジ)は同じである。
工業的に大量生産に乗ったのはユニファイネジのほうが先で、ISOの方が規格をメートル法上で作り直したためらしい。
それ以前の英国などでは山の形の違うウィットワース・ネジなどが使われていたそうだ。
ユニファイネジの表記は山径とインチあたりのスレッド数(Thread per inch/TPI)で表される。
同じ山径に対し並目(coarse thread/UNC)と細目(fine thread/UNF)が通常あるがDIYで使用するのはたいていcoarse。
1/4より細いものに関しては山径でなく0から12の番号表記である。
ちなみに非常によく使うのは1/4 20UNC。
直径6mm強のちょうど手頃なサイズ。
ちなみにカメラの三脚の雲台のネジがこれ。

容量は塗料や接着剤などを扱うときに必要になる。
単位は料理のほうにも書いたfl ozの場合がほとんど。

重さというのは強度計算などの時には必要だろうが、通常DIYではあまり気にしない。
とにかく単位はほとんどの場合
  • pound(lb) = 0.45kg
の理解で事足りると思う。

圧力は多分エアツールや吹き付け塗装などでいるのだと思う。
僕は未導入なのでちょっとわからないが、通常使われる単位は
  • pound per square inch (psi) = 0.07 気圧 (1 kgf/cm²)

木材や木工に関してはいろいろ日米文化の違いはまだあるが、本エントリは単位に関してなのでそれ以外に関してはまた別のエントリにて。